★ ハリー・ポッターの本が気軽に外へ持ち歩ける! カラーページや内容はそのままに、その大きさはなんとB6サイズ。
現在は三作目までがこの携帯版に。場所もとらず手にとりやすいこの携帯版。これから読んでみようかなと思っているあなたに最適です。 ★







 12 ハロウィン騒動






 どうやら自分は、なんだかんだで色んなことが出来るらしいと。


 がようやくそう自覚したのは十月も終わりに差し掛かる、ハロウィンを目前に控えた頃だった。






 飛行訓練の授業で怪我をしたあの一件以来、同室のハーマイオニーと少し話すようになった。
 正確にはあの後の夜の脱走事件がきっかけなのかもしれないが、ハーマイオニーはそのことをあまり話したがらなかったし、どうやらロンやハリーとは険悪な仲になってしまったらしい。
 しかしまあ、別にいつも一緒にいるほど仲良くなったというわけでもなかったので、も三人の関係については特に気にしていなかった。

 人間、誰にでも好き嫌いがある。

 ハリーとは今までどおりに話をするし、その流れでロンとも言葉を交わすこともあって、それでいいと思っていた。


 しかし、転機はあるハロウィンの日に突然訪れる。

 始まりのきっかけは、その日の午前中の授業。
 妖精の呪文の授業を受け持つフリットウィック先生が、そろそろ物を飛ばす練習をしましょうと言ったことから始まる。


「さあ、いいですか皆さん。いままで練習してきたことを思い出して。手首はしなやかに、呪文は正確に。ビューン、ヒョイ、ですからね」


 一人ひとりに配られたのは白く軽い一本の羽。息を吹きかければそれだけで飛んでいきそうだ。
 しかしグリフィンドールのイッチ年生たちは真剣な瞳でそれを見つめ、杖を持つ手には緊張が走っていた。


「ああ、そうそう、ミス・。あなたは十分に注意して。やりすぎてはいけませんよ。いいですね。今日飛ばすのはその羽です。決して以前のように机や先生を浮かせたりしないように」

「はあ」


 フリットウィック先生は若干おびえたような口調で、に向かい釘を刺した。

 実はには前科がある。

 まだ授業が始まったばかりの頃、最初に手の動きを練習して、次に呪文を教えられたときだった。
 ただ模擬的に、その二つを組み合わせてちゃんと出来ているか、一人ひとりテストしてみましょうと先生が言ったので、も順番が来るのを待って杖を振った。

 別に何かを浮かせようとしていたわけではない。
 そんな指示は受けていなかったし、ただフォームを確認するためだけのものだったのだ。

 しかし。

 が何気なく杖を振ったとき、正面でその動きを確認していたフリットウィック先生とその机が、ふわりと地上十センチほどに浮き上がってしまったのだ。

 もう教室中は大騒ぎである。
 驚いた先生は空中で「早く降ろしなさい!」と言うが、にはどうすれば降ろすことが出来るのか、そもそも何故先生が浮いたのかすらわからない。

 結局のところ、落ち着きを取り戻した先生が自力で何とか脱出して、その場は事なきを得たのだった。
 幸いなことに、これは事故だったということで減点等の処罰はなし。


「相手がフリットウィック先生で良かったよな。これがスネイプだったら、絶対五十点は減点されてるよ」


 とはロンの談である。

 ただ、その日からは、授業でも実技が本格的に始まるまで、不用意に杖を振らないようにとの指示が出されていた。

 そして今日、とうとう全員で魔法を使ってみようということになって。
 も杖を振る許可を得て、こうして羽を前にしているのだけれど。

 フリットウィック先生は、不安が拭いきれていないらしい。
 繰り返しに注意するよう呼びかけて、ようやく全員にGOサインを出した。


「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」


 あちらこちらからそんな叫び声が木霊する。

 最初は先生に教えられたとおり、慎重に正確に。
 しかしだんだんと声は大きく、腕の振りは雑になってくる。
 しまいにシェーマスなどは、杖で羽をつついて火をつけてしまった。
 上手くいっているペアは少ない。

 一方はといえば、またフリットウィック先生に釘を刺されないうちに、早々と羽を浮かせてしまったらしかった。
 そしてどうやらコツをつかんだようで、授業の終わる頃には浮かべた羽を、あっちへふよふよ、こっちへふよふよと漂わせて遊べるまでになっていた。

 そんなが、隣であわあわ慌てふためいているネビルを眺めていた時だ。

 後ろのハーマイオニーとロンのペアが座る席から、刺々しい会話がの耳に飛び込んできた。


「だめよ、ロン。あなた言い方が間違ってるわ。ウィンガーディアムのガーはもっときれいに伸ばさなくっちゃ」

「そんなによくご存知なら、君がやってみろよ」


 ハーマイオニーの言い方にカチンと来たロンが、投げやりにそう言い放つ。

 もしもその時、ハーマイオニーの羽もロンの羽と同じく浮き上がったりしなければ。
 もしかすれば、あんなことにはならなかったのかもしれない。

 いまより激しい口論になっていただろうことは間違いないが、少なくともハーマイオニーが女子トイレに閉じこもるなんて事態は避けられたことだろう。
 しかし幸か不幸か、ハーマイオニーの羽は彼女の杖と呪文にしたがってふわりと頭上高く浮き上がったのだ。

 そしてその後、授業が終わり、次の教室へ移動する生徒たちでごった返している廊下でのこと。


「だから誰だってあいつには我慢できないって言うんだ。まったく、悪魔みたいな奴だよ」


 ロンがハリーにそう愚痴ったすぐ横を、ハーマイオニーが足早に追い越していった。
 それをみたハリーが、聞こえてたみたいだよと気まずそうに言うけれど、ロンは強がるように鼻で笑って。


「それがどうした。誰も友達がいないってことは気がついてるだろうさ」


 ふいとそっぽを向くロン。

 しかしその直後。


「―――ッ!?」


 ゴツ、という鈍い音が、真上からロンの頭部に直撃した。

 隣にいたハリーはぎょっとして目を見開く。
 思わず視線をやったその先にいたのは、それなりに分厚い妖精呪文の教科書の角っこを、背後からロンの頭めがけて振り下ろしているの姿で。

 ロンは突然脳天にクリティカルヒットした重たい衝撃に、涙目になりながら頭を押さえ、ばっと後ろを振り返る。


「なにするん―――」

「言い過ぎ。向こうにも問題はあるけど、今のはロンが悪い」


 抗議の声をあげようとしたロンにぴしゃりと言って。

 怒っているのかいないのか、その落ち着き払った表情からは計り知れないが、ロンにはのその得体の知れない無表情に言い返せるだけの気迫も根性もなかった。


 そしてその後の授業にハーマイオニーの姿はなく。
 午後の全ての授業が終わり、夕食の時間間近になってもなお、ハーマイオニーは姿を現さない。

 今日はハロウィンだ。
 生徒たちは活気づき、夜のパーティーを今か今かと待ち望んでいる。

 しかしだけは相変わらず、例外の道をひた走ることになっていた。
 食堂へ向かう途中で、ふと耳に入ってきた会話。


「―――ハーマイオニーが女子トイレに篭もって出てこない―――」

「……………」


 同室のラベンダーとパーバティがひそひそ囁きあう様子を無言で眺めていたは、何を思ったか突然くるりと踵を返すと、おもむろに食堂へ向かう人の流れを一人逆走し始めた。

 こんな日にトイレへ篭城する理由なんていわずと知れたこと。
 午前中のあの一件に決まっている。

 ようやく人の波から抜け出たは、そのまま女子トイレへと足を向ける。

 しかし、一度だけ不意に立ち止まった。

 自分は行ってどうするつもりなのだろうかと。

 はたと浮かんだ疑問にしばらく顎に手をやって考えたけれど、答えの出てくる様子はまったく窺えなくて。
 は再びトイレへ向かって歩き出した。


 行ったほうが、行かないよりはマシな気がする。


 そんな曖昧な理由で自己完結して。






2006/02/05 up

ロンの失言に無言の制裁。
力関係はどうやら ヒロイン>ロン なご様子。


――― 勝手にうんちく にがついつか ―――

★ 評価は五段階 ★

New!ハリー・ポッターと賢者の石 携帯版(B6サイズ)  ★★★★★
     みなさまご存知の『ハリー・ポッターと賢者の石』。
     あのミリオンセラー作品の第一作目です。
     今さらと思われるかもしれないですがこの携帯版は、これから買おうと思っている人、
     読み始めようか迷っている人、外でもハリポタ読みたいよう! という人にはぜひお勧めしたいです。
     内容はハードカバーの本とまったく変わりませんが、サイズが随分とコンパクトなんです。
     一度読み始めると止まらない面白さのハリポタ。
     しかし、通勤や通学の途中にバスや電車の中であのハードカバーの本を開くのは一苦労です。
     ていうかむしろ無謀。
     腕がぷるぷるします。 経験済みです、はい。
     そんなときに見つけたのがこの携帯版。
     文庫本の豪華版だと思ってください。
     サイズはB6で、表紙も新しくなっています。
     もちろんハードカバーの表紙の絵は、中にカラーページとして収録されていますのでご安心を。
     内容はハードカバーとまったく変わらず、コンパクトなサイズとなってあなたの外出先にお供してくれるのです。
     仕事場へも学校へも、旅先へも自由自在。

     「すごい人気だけど、まだ読んでないんだよねぇ」
     「ちょっと高いしなぁ……。どうしようかなぁ」

     という人にはお勧めしたい一品です。

     もうすでにハードカバーをお持ちの方も、そちらは家でまったりティータイムに。
     こちらの携帯版は、社会の喧騒に疲れた時の現実逃避に………。
     それぞれ使い分けてみるのもいいかもしれません。
     ハード・カバーは保存版に最適ですからねぇ。
     この携帯版は現在、『賢者の石』・『秘密の部屋』・『アズカバンの囚人』が出されています。
     お試しに買ってみるには最適な価格かと。
     あなたもハリーの世界へ足を踏み入れてみませんか?
     こう、ずずいっと。


ハリーポッターと謎のプリンス 日本語版  ★★★★★
     待ちに待ったハリー・ポッターシリーズの第六作目の日本語版!
     ついに発売日決定です!(ドンドンパフー)
     原書に挑戦されている方も多々いらっしゃるようで、Web上では
     六巻の話題がまことしやかに交わされておりました。
     英語の出来ない人間にはまさに生き地獄!(←大袈裟)
     ああ、ですがしかし!
     ついにきたのですよ、皆さん! 来るべき日が!(笑)
     ここでは多くは語れません。
     ていうか、語る必要もないでしょう。(そしてネタもない)
     発売日は来年5月17日の水曜日。
     確実に手に入れたい方は、予約をお勧めします。はい。


★ ハリー・ポッター第四作の映画公開を記念して、過去の三作品のDVDがスペシャルプレイスで登場!
特典映像のディスクもちゃんとついているこの廉価版。期間限定で付いている帯の裏面には、携帯の特別待ち受け画像がもらえる秘密のパスワードが! 持ってないあなたは今がチャンスです! ★


★ ハリー・ポッターの世界がここに! 本(和・洋)、DVDはもちろん、海外で販売される商品など、
                   ありとあらゆるグッズが勢ぞろい! あなたが探していたグッズ、知らなかったモノが見つかるかもです! ★