19 思わず
昔から、『人間、ついてない時はとことんついてない』というけれど。
まさに今の自分がそのいい例だと、は思った。
水を吸って変色したスカートが、風にさらされて冷たい。
幸いにも被害を受けたのは左半分だけで済んだけれど、足元までしっかりと濡れてしまっては、ラッキーだなんてとてもじゃないが思えなかった。
「…………うわぁ………」
身構えた体勢のまま自分の足元の惨状をひとしきり確認し、それからようやく口を衝いてでたのは、そんな間抜けな感嘆符で。
ちょっぴり自分が情けない。
そもそも最初、突然襲ってきた事態にただ驚いて、息を詰めたのがまずかった。
悲鳴をあげるタイミングを失い、次に取る行動の選択肢も失って。
目の前にいる、半分水の量が減ったバケツの持ち主と共に、その場に固まることしか出来なかった。
「―――ご、ごめんなさい!」
水を湛えたバケツは、いや、バケツの持ち主は、被害者であるより一足先に我に返ると、ものすごい勢いで頭をさげた。
白い制服、赤いタイ。音楽科の生徒だ。
ここは普通科の校舎裏で、しかも今は昼休みで。
こんなところで音楽科と出くわすのはとてもめずらしい。
けれどのそんな思いは、必死に頭をさげてくる彼女の姿に頭の隅へと追いやられてしまった。
「本当にごめんなさい! あ、そ、そうだ、ハンカチ………」
若干青ざめた顔をして謝りながら、思いついたようにポケットの中を探り出す彼女に、は慌てて手を左右に振る。
「え、いいですいいです。大丈夫ですから。気にしないで」
「でも………」
心配そうに首を傾げる彼女にもう一度手を振って、は引きつりながらも笑みを浮かべた。
確かにあまり大丈夫とは言えないぐらい濡れてはいたけれど、こんなにも必死に謝られては他にどうしようもない。
逆にこちらがひどいことをしているようで、居たたまれなくなってしまう。
が再び大丈夫だから、と繰り返すと、音楽科の彼女は振り返り振り返り謝りながら、音楽科の方に向かって歩いていった。
それを張り付いた笑顔で見送ったは、彼女の姿が見えなくなると同時に深く大きな溜め息を漏らす。
ここ最近で、一番大きな溜め息かもしれなかった。
「…………ついてないなぁ」
ぐっしょり濡れたスカートと足を見下ろしてこぼした呟きは、昼休みであるにも関わらずひっそりとした校舎裏に、寂しく消えていく。
本当に、ここ最近の自分はついていない。
あいも変わらず集中力は低下したままで、練習は思うようにいかないし、そのうえ先日のレッスンでは、うっかり話を聞き逃して先生を怒らせてしまう始末………。
「…………救いようがないなぁ」
溜め息のネタは売るほどあるというのに、なおかつまだこんな不慮の事故を呼び込んでしまう自分に、は再び溜め息をついた。
頭を冷やしてこいと先生に言われ、この三日ほど自分で頭の中を整理してはみたけれど。
大して成果があったとはとても思えず。
むしろ前回のレッスンの時、初めて見た先生の怒った様子のほうが気になってしまって。
またもや溜め息をつくことになるのだ。
かと言って、時間が止まるなんてことはありえないのが現実で。
週二回の先生のレッスン。
火曜日と金曜日。
そうして今日は、運命の金曜日なわけで。
怒られてからこちら、何となく気まずくて金澤と顔をあわせていなかったは、迫り来るその時を思うと落ち込まずにはいられない。
普通科の自分にとって、音楽科の教師である先生を避けるのは実はとても簡単なことだった。
それに気づいたのは、ここ数日のこと。
このコンクールが始まるまで先生の存在すら知らなかったのだから、冷静に考えれば当たり前なのだけれど。
知りあってからはほとんど毎日のように姿を見かけていたから、ずっと気づかなかったのだ。
会いたくないわけではない。
決してそういうわけではないと思う。
レッスンだってむしろ受けたいぐらいで。
でも、ただ………。
「あれ、ちゃん?」
その場に立ち尽くしたまま、いつのまにかぼんやりと物思いにふけっていたは、不意に後ろからかけられた声に、はっと我に返った。
「王崎先輩………」
声のした方を振り返る。
その人物は、自分の名を呼ぶに微笑みを向けていたのだけれど。
近づいてその姿を確認するなり、驚いたように目を見開いた。
「ちゃん、どうしたのそれ! びしょ濡れじゃないか」
「あ、はは。いえ、ちょっとさっき、人とぶつかっちゃって………」
王崎に言われて、はようやく自分の状況を思い出す。
ポケットの中からハンカチを取り出し、しばらく放っておいたせいで半ば乾きかけている足を適当に拭った。
「ぶつかったって…………あ、もしかして、水の入ったバケツを持って歩いてた音楽科の二年生?」
「え?」
腰を曲げて足を拭いていたは顔をあげる。
どうしてそんなことを知っているのかと聞けば、王崎は苦笑して。
「さっきそこですれ違ったんだ。それにしても災難だったね」
王崎の言葉に納得したは、微笑んで言われた言葉に「ほんとです」と笑って、足を拭うために再び頭を俯けた。
スカートのほうは拭くだけ無駄だろう。
きっとハンカチの方がすぐに湿ってしまって、使い物にならなくなる。
かといって、今日は体育がない日なのでタオルがあるわけでもない。
これはもう、我慢するしかないか。
もうすでにハンカチが湿り気を帯びてきているのを感じながら、は内心でそう嘆息した。
すると、その様子を見ていた王崎がふとあたりに視線を走らせる。
と思うや、かがんでいるの手をおもむろに取って歩き出した。
「せ、先輩?」
「日なたにいたほうが早く乾くだろう? ここなら座れるよ」
木陰の下にいたを日のあたる場所へつれてくると、そう言ってにっこりと微笑む。
突然のことに驚いていたも、王崎の優しさあふれる笑みにつられて、自然と頬を緩めた。
王崎に「ありがとうございます」と礼を述べ、彼に促されるままコンクリートの段差に腰をおろす。
王崎もその隣に腰掛けた。
そろそろ夏も近くなった晩春の日差し。
降り注ぐそれはぽかぽかと暖かく、この分ならしばらくするうちにスカートも靴もあらかた乾くだろう。
なるべく濡れている部分を日光に当てようと、両足を伸ばして座っていたは、そんなことを考えながらぼんやりと木陰を見つめた。
さっきまで自分が立っていた所に、黒い大きな染みが見える。
「………なにか、あった?」
「え?」
突然、隣に黙って座っていた王崎から問われ、はきょとんとしてそちらを見上げた。
視線が合った王崎は、先ほどと変わらぬ優しい顔をしていて。
「最近、調子悪いみたいだったから。なにか心配事?」
俺でよかったら話を聞くよと。
そう言って首を傾げる。
「…………ありがとうございます」
しばらく目を丸めたまま王崎を見ていただったが、不意に視線を落としてそう呟いた。
風に晒されて冷えていたスカートの塗れた部分が、今度は太陽に当たってほかほかと暖かくなっている。
そこに手を触れればまだしっとりと濡れていたけれど、しかしこの日差しの強さならもうじき乾くだろう。
は手にもっていたハンカチを、膝の上でなんとなくいじった。
言葉を探しているような、どこか逡巡するような様子。
「練習、上手くいってない?」
それを見た王崎は、促すように問い掛けてみる。
するとはやはり僅かに迷うような表情を見せて、しかしこくりと小さく頷いた。
視線は手元にやったまま口を開く。
「最近、集中できなくて…………。セレクションがもうすぐなのはわかってるのに、なんか、私、最近おかしいんですよね………。理由は、色々あると思うんですけど、どうしていいか、わからなくて…………」
ぽつり、ぽつりと。
考えながら口にするの言葉を、王崎は黙って聞いている。
相槌を打つでもなく、急かすでもなく、ただ黙って。
だからは、次第にスムーズに喋りだす。
「私、週に二回、金澤先生にレッスンをしていただいてるんです。火曜日と金曜日で、今日がその日で、放課後に、練習室であるんですけど………」
話す内容がまとまっていないせいか、自分でも思わぬ方向に話が進んでいくようだ。
その先をどう続ければいいかわからず、は口をつぐんだ。
けれど王崎は急かすようなことはしない。
逡巡しているを見守りながら、ただ黙って聞いている。
「………私、前回のレッスンの時に、先生を怒らせてしまって………。頭を冷やせって、言われたんです」
ポツリとそれだけ言うと、はまた口をつぐんだ。
手元のハンカチを弄ぶ。
スカートの方はもう随分と乾いているようだ。
今日の天気が良くてよかったと思う。
このままいけば、午後の授業までに間に合うだろう。
日差しは少し強いぐらいで、木陰と日なたの明暗がはっきりと見えていた。
「金澤先生が怒るなんて、めずらしいな」
沈黙したが、それ以上話す素振りを見せないとわかると、それまで黙っていた王崎は初めて口を開いた。
それは話し掛けているというよりも感想に近い。
は手元から顔をあげて王崎を見た。
ここの卒業生である彼は、金澤のこともよく知っているのだろう。
そういえば何度か、金澤の口から彼の話を聞いていたことを思い出す。
「私もこの前が初めてです。あんなふうに怒られたの……。注意とかは、何度もされたことあるんですけど」
例えばまだレッスンを受ける前。
屋上で一人、隠れて歌っていたところを唐突に遮られたりとか………。
あの時はもう余裕がなくてその場から逃げ出したけれど、いま思えばあれは金澤なりに指導してくれたのかもしれないと思う。ちょっと言い方が、あれだっただけで。
それ以外にも、レッスンの中なら注意なんて日常茶飯事だ。
技術とか、表現とか、そういったことを語る時はいつも、普段では滅多に見られないような真剣な表情で、時には語調がきつくなることもあったけれど。
それでもこの前のように、突き放すような言い方をしたことは一度もない。
つまり自分は、それほど先生を怒らせてしまったのだ。
滅多に怒ることのない先生に、あんな態度をとらせるほど。
王崎は、がまた落ち込む姿を見て、ふと顎に手をやった。
「おれが知ってる金澤先生は、怒るどころか注意とかもするような先生じゃなかったけどな」
「…………そう、なんですか?」
思わぬ王崎の発言に、はきょとりとして目を丸めた。
王崎は、昔レッスンを受けた友達がぼやいてたよ、と軽く笑う。
「というより、個人レッスン自体ほとんどしない先生だったからね。生徒から逃げ回ってたのは今と同じだよ。それでも声楽専攻の生徒がたまに、頼み込んで見てもらったりはしてたけど。それでもあんまり熱心に指導するタイプじゃなかったからなぁ。ただ金澤先生は生徒から人気があったから、頼んでる人は多かったみたいだけど、ほとんどが断られてたね。今でもそうなんじゃないかな」
「……………」
王崎から語られる金澤の話に、は驚きを隠せなかった。
自分が知る先生の姿とは違いすぎて。
確かに普段の先生は、やる気なさげな言動と行動で、それでも教師かと思わず言いたくなるような振る舞いをする人間だけれども。
それでもが知る限り、レッスンでいい加減なことをしたことは一度もない。
むしろ、どちらかといえば熱心な。真剣な指導をしてくれる。
だから、王崎の口から語られる音楽科での金澤の様子は、とても新鮮で………。
熱心に話を聞いている様子のに、王崎はふっと笑いかけた。
「おれの時からずっとそんなだろう? だから、金澤先生が君の指導を引き受けたって聞いた時、正直すごく驚いたんだよ。あの金澤先生がってね」
「知ってたんですか? 私がレッスン受けてるって」
王崎の言葉には驚くけれど、王崎はいたずらっ子のように笑って、音楽科で噂になってたからと答える。
はその事実に、ちょっと赤くなった。
自分の知らないところでそんな噂をされていたとは、思いもしなかったので。
王崎はそんなを微笑ましく見やりながら、だから、と話を続ける。
「その金澤先生がわざわざ引き受けたんだ。その子は随分見込まれたんだなって思ったよ」
「見込まれ………?」
その言葉に、は目をぱちくりさせた。
初めて聞く単語のように繰り返してみる。
素人で、音楽のことなんか何も知らなくて、先生の手を煩わせてばかりいる自分が、先生に見込まれる?
なんだかそれはあまりに非現実的すぎて、信じようとすることすら思いつかなかった。
「それは………違いますよ、絶対」
「どうして?」
また手元に視線を落としたを、王崎は覗き込む。
「だって先生は………見るに見かねただけなんです。私があんまり素人だから………きっと、見ていられなかったんだと思います」
屋上から偶然聞こえてきた練習を思わず遮ってしまうほど、聞くにたえなかったのだろう。
まだレッスンを引き受けてもらう以前の出来事を、は鮮明に思い出した。
結局はあれがきっかけとなってレッスンを受けることになったのだけれど、いつ思い返しても恥ずかしいと思う。
それほど素人だったのだ。
それなのに先生は、わざわざ引き受けてくれて。
呆れることもなく、熱心に指導してくれて。
そうして自分は、そんな先生を怒らせてしまった。
先生の厚意を、無下にしてしまったのだ。
「きっと、もう呆れられてますよね。こんな生徒…………ほんと、自分で自分が嫌になる」
ぎゅっとハンカチを握る手に力をこめて。
無理やりに作ったような笑顔をは浮かべる。
「―――不安なんです、すごく。今日のレッスンのこととか考えると胃が痛くなりそうで………。だって私、先生がまだ怒ってたらどうすればいいのかわからない。もし…………もし、先生に見放されたら?」
いったい自分はこれからどうすれば良いのだろう。
そう考える度に、は言い知れない不安を感じていた。
このコンクールに出場が決まった時には、一人で何とかやるしかないと腹を括りもしたというのに。
コンクールも半分が終わり、第三セレクションを目前に控えた今になって、こんな不安に駆られていることが少しおかしい。
自嘲気味に微笑んで言うに、王崎は僅かに驚いたようだった。
俯くを驚きの目で見下ろしていたけれど、しかしまたすぐに、今までと同じ優しげな笑みを顔中に浮かべる。
には見えなかったが、見れば必ず安心してしまうような、そんなひどく穏やかな笑みで。
「それだけはきっとありえないよ。先生が君を見放すなんてそんなこと」
「どうしてですか? だって私、ただでさえ素人で先生のお荷物なのに、その上練習にまで集中できないなんて…………」
王崎の妙に確信めいた言葉に、は思わず顔をあげて王崎を見た。
しかしその笑顔にぶつかるや、再び視線を落としてしまう。
自己嫌悪の嵐に苛まれていることは一目瞭然だ。
王崎はそんなを見つめたままで口を開く。
「誰でも調子の悪い時はあるものなんだよ。音楽をやっていれば誰もが経験することだ。金澤先生がそんなことぐらいで生徒を見放すような先生じゃないことは、おれなんかよりちゃんの方がわかってるんじゃないのかな」
「……………」
はそう言って微笑む王崎に再び俯けていた顔をあげ、その笑顔をまじまじと見た。
人に警戒心を起こさせない、穏やかな雰囲気が辺りを包んでいる。
どうしてこの人は、こんなにも優しげなオーラを醸しだせるのだろう。
知り合ったのはコンクールが始まってからだけれど、は彼の不機嫌な様子など見たことがなかった。
そんな王崎の言葉は、不思議と信じてみたいような気にさせられる。
王崎は、が若干浮上したような様子を見せると、それでもまだ僅かに不安げな光を残している瞳を覗き込んでにっこりと笑いかけた。
は驚いて目を瞬かせる。
「大丈夫だよ。金澤先生が君の事を気にかけているのは、見ているだけでもわかるから。心配せずに、行ってきてごらん」
きっと大丈夫だからと。
そう言って笑う王崎の微笑みは、不安に惑っていたの顔にも自然と笑みを浮かべさせた。
「あ、もうそろそろ予鈴が鳴る頃かな。それじゃおれは、昔の担任に呼ばれてるから職員室に行くよ」
腕時計に目を落とした王崎は、そう言ってコンクリートの段差から立ち上がる。
そして座ったままのに向かってじゃあねと笑いかけ、職員室のある校舎へ向かって歩き出した。
それに慌てて立ち上がる。
「あ、あの、王崎先輩! ありがとうございました、お話聞いて下さって」
歩いていく背中にそう声をかければ、王崎は肩越しに振り返って。
「次のセレクション、頑張って。楽しみにしてるよ」
軽く手を振ると、再び背を向けて去っていったのだった。
それを見送りながら、はふと足元を見下ろす。
水を含んで重くなっていたスカートは、すっかり乾ききっていた。
靴や靴下も、完全とはいかないまでも不快ではない程度に乾いている。
初夏には早い、けれど春にしては少し強い太陽の光が、辺りの明暗を色濃く分けていた。
王崎先輩初登場。
とてもいい人、かなりいい人。
こんなお兄さんがほしいです。ほんとにねぇ。
New!金色のコルダ 〜 Primavera 〜
★★★★★
コルダファン必見! 初の ”金色のコルダオンリーDVD”!
ネオロマライブDVDとはまた違った、コルダ一色のDVDでございます。
主となっているのはコルダのメインキャラ総出演の『爆笑トーク大会』。
爆笑と言うだけあって、本気で笑えます。
声優さんの素がかなり出ているのですが、コルダの収録時の裏話とか聞けておもしろかったですね。
そのほかにも六個のお題にそって話が進められていくので内容は豊富。
個人的には、冬海ちゃん役の声優さんがかなりのハマり役なのにびっくりしました。
もー、冬海ちゃんそのものって感じ。
土浦君が言うところの、吹けば飛びそうなというか、つつけば壊れそうなというか。
可憐でした。(笑)
また、 『ヴァイオリン講座』 や 『三年B組金やん先生』 といった企画も盛りだくさん。
もちろん7人の歌も、なんとライブバージョンで収録されています。
歌で大注目なのは、月森蓮役の谷山紀章氏!
なんですかあの上手さっ! あの美声っ! 反則ですよ! ってくらいすごいです。
いやー、びっくりでしたね。 かなり上手い。 一見の価値ありです。
できればネオロマライブでやるお芝居なんかも収録しておいてほしかったですねぇ。
いや、まあそれは、ライブのDVDを見ろってことなんでしょうが・・・・・・。
個人的にはもうちょっとキャラを出してほしかったかなぁ。本当に声優さんの素が楽しめるDVDです。
ヴァイオリン組、3Bキャラ好きの人には特にオススメしたいですね。
この四人がかなり出張っているので大満足間違いなしでしょう。
金色のコルダ マエストロ養成講座
★★★★★
皆さまおなじみの金色のコルダ。
その ”完全攻略&完全データ集” です!
『え〜、でも私、とっくにエキスパートガイド持ってるもん』
『ていうか、もうスチル全部集まったし。見る必要ナッシング!』
―――と、お思いの方々もいらっしゃることでしょう。
ところが!
あなどっちゃあいけません。これは単なるゲーム攻略本ではないのです!
ゲームの攻略、いわゆるコンプリートしたとされる一つの条件として、スチルの全収集が挙げられますね?
乙女ゲームにおいて、この条件は必須です。これさえ満たせば、ゲーム内の九割方のイベントを見たことになるか
らです。ところが、はたしてそれで、全てのイベントを見れたのでしょうか?
ご存知のようにこの金色のコルダには、恋愛○段階という大きなイベントの他に、こまごまとしたイベントが多数用
意されています。
プレイヤーにとって、それは嬉しいことなのですが、いかんせん一体どういう条件でそれらが発生するのか。
また、どれだけの数が用意されているのか。それらの予測がまったくつかないというのが現状でした。
かく言う私も、『あの人のイベントを、一つたりとも見逃すものかッ!』 と、意気込んでいた時期はありましたが、い
かんせんまったく予測のつかないものを、網羅するだけの技量も根性もなく………。
すっかりゲームへの熱意は冷め、こうしてドリーム小説に没頭しているわけではありますが………。(笑)
なんとこのマエストロ養成講座には、それらの情報が載っているのです!
しかもなんと、 「恋愛対象5人同時攻略」 などというものがあるそうではありませんか!
私は知りませんでしたよ、ええ。全然まったくもって。そんなものがあるなんて。七人攻略も夢じゃないらしいですね?
そうしてなんとこの本には、その情報まで載っているというのです!
私が一番惹きつけられるのは、二人以上を同時進行させた時に見れるあの嫉妬イベントについての情報です
な! ぜひ見たい、なんとしても見たい、死ぬほど見たい………。
再びコルダ熱が燃え上がる気配がいたします。(爆)
どうやらイベントのセリフ等は冒頭部分のみ掲載という状態なようですが、そのほうが見る楽しみが倍増ですよね。
ていうか、先にバラすようなことはしないで下さい。
やりこみプレイや完全データ、ディープな攻略法(笑)など、40種類の講座が収録されているこの一冊。
なぜもっと早く発売してくれなかった、ルビーパーティ!? と叫びたいのは山々ですが。
とにかくオススメです。
幕末恋華・新撰組
★★★★☆
トップページでも紹介している、『うるるんクエスト 恋遊記』と同じ3Dの作品。
本格派歴史系恋愛アドベンチャーですね。
史実に沿った事件が起こる中で、女性隊士として新撰組に所属することになった主人公。
時代の荒波に翻弄されながらも、刀を取り、懸命に戦い生き抜いていくのです。
まさしくゲーム版ドリームですな。
なにぶん新撰組ですから、どうやったって悲恋になるだろうってキャラはいますが、訪れたEDに感動することは請
け合いです。
絵柄も綺麗ですし、声優陣も豪華なメンバーが揃っているので満足できると思いますよ?(しかもフルボイス)
ただ、D3という会社の方針として、『安価で攻略も簡単なものを』という目標? 理念? の元に製作された物です
から、攻略は簡単です。
人によっては物足りなさを感じてしまうかも?
そういった点では初心者向きですかねぇ。
ですが、近藤勇や沖田宗司、土方歳三などと、時代に全てを捧げて一心に生き、けれどもその一方で、どうするこ
ともできずに湧き上がる暖かな思い。
これはかなり胸にきます。
現代に生きる私たちには予想できない、様々な人間模様が用意されているかも。
個人的にはおすすめですが、やはり攻略の難易度が低いことを踏まえて、星は四つ。
星の王女3 〜天・地・人の創世記〜
★★★★★
業界初の女性向18禁恋愛アドベンチャー第三弾!
なんと今度は全年齢対象の、健全版として帰ってきた!?
ちょっとびっくりな展開ですが、安心してください、大丈夫です。(何がさ)
たしかにこの『星の王女3』は全年齢を対象としたソフトウェアと表記されていますが、
もちろんちゃんと18禁版も用意されています。
今度の舞台は神話の世界。
絵もストーリーもグレードアップして、かなり満足度は高いです。
さすがに三度目ともなると、それまでの問題を解消してゲームとしての完成度も上がっていますね。
今度は、これまでの『星の王女1、2』のように選択肢を選んでいくだけのものではなくて、ゲーム度もランクアップ。
そして画像の綺麗さはさることながら、BGMの成長ぶりにも目を見張ります。
攻略対象のキャラは、幅広い年齢層を用意。
見た目もプリティな少年(耳とんがってますけど)から、ナイスミドルまで(かなり管理人好み)盛りだくさん!
いろんな人に楽しんでもらえるよう、企画されているようです。
普通にゲームを買うと健全版なので、
18禁版を楽しもうと思う人は、それと一緒に18禁対応ディスクを買わないといけないんですが、
二枚あわせても前回の価格とさほど変わりません。
ちょっと高くなってるかな? でも、内容を考えれば許容範囲ですね。
やはり18禁となると市場が限られてしまうようで、今回の健全版作成は美雷さんの市場開拓が目的なようです。
まあ、世間には18禁と聞いただけで思わず尻込みしてしまう方もいらっしゃるでしょうしねぇ。
管理人はまったく全然OKな人間ですが。
乙女の恥じらいなんて、とうの昔に焼却処理いたしましたとも!
ていうか、いいじゃないか、18禁だって! 子孫繁栄の重要な過程をちょっとロマンチックに表現しただけじゃないか!
自分たちだって、こういう営みの果てに生まれて来た存在さ!
………なーんて主張してみたりして。
いや、まぁ、これには色々人それぞれにおっしゃりたいことがあるでしょうね。
これは管理人の私的な意見ということで。
とにかく、これまで18禁だからと尻込みしていたあなた! この機会に試してみてはどうでしょう。
別に18禁対応ディスクを買わなくても、充分乙女ゲームとして楽しめる内容になっているので心配なし。
つまりはそういうシーンがカットされてるだけですからね。
キャラがとにかくカッコいいんです。ハマって下さい。
18禁版で楽しむ時に使う、追加ディスクはこちら。(星の王女3 〜天・地・人の創世記〜 18禁対応追加ディスク)